
ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水
早川書房 / 2020-03-18
この本について
日々、自分の選んだ場所が本当に居場所なのか、ふと立ち止まることがありませんか。周りはうまくやっているように見えるのに、自分だけどこか場違いな気がして、でも戻る場所も決めきれない。私も仕事でも人間関係でも、この「中途半端な漂流感」をよく抱えています。 『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』を読んでいて救われたのは、登場人物たちがまさにその感覚を抱えたまま動き続けていたからです。テラが、相棒が隠している「言えない一点」に気付きながらも突き放さない姿は、正しさよりも共にいることを選ぶ感覚に近いと思いました。誰かの一生懸命さに理由をつけず、ただ受け取るだけで関係が前に進む瞬間がこの物語にはたくさんあります。 それに、この世界では「役に立つ能力」や「優秀さ」の基準が揺らぎ続けます。ツイスタだってデコンパだって、どこに行けば肯定されるかは環境次第で、本人の価値が固定されるわけじゃない。自分の世界が全部じゃないと気付くあの不思議な感覚も、読んでいて何度も思い出しました。知らないものをまだ知らないままで大事にするって、案外むずかしいですよね。 迷いながら動いている人間がどうやって関係を築くのか、そのやり取りを丁寧に追いたい人に刺さる作品です。読後に「どこに属すか」より「誰とやっていくか」のほうが少しだけ信じられるようになりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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