
日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030 (中公選書)
ジェレミー・ブレーデン, ロジャー・グッドマン, and 石澤麻子
この本について
大学の経営の話になると、「結局どこも同じ構造なんでしょ…?」とか、「ニュースで見る不祥事のせいで全体像がよく分からない」といったモヤモヤを抱えたまま終わることが多いと思います。僕もずっとそうで、現場の空気と世の中のイメージがどうにも噛み合わないままでした。 この本がおもしろいのは、日本の私立大学の“同族経営”を、スキャンダルではなく社会構造の中で見ようとしているところです。抜粋にもあるように、同族経営は日本だけの特殊現象ではなく、世界中に普通に存在していて、むしろ強みになっている場面すらある。ただ、そうした面はニュースではほぼ語られない。そういう視点のズレが整理されるだけでも、大学という組織の見え方がかなり変わります。 また、大学を「個々のアクターの行動」だけで理解しようとすると見誤る部分があることも丁寧に示してくれます。長く続く社会秩序や構造的な葛藤の上に成り立つ仕組みとして眺めると、身近な大学の意思決定の背景も少し読み解きやすくなるはずです。 大学業界の空気が何となく読みにくいと感じている人、あるいは表に出てこない組織の論理を知りたい人には刺さる一冊だと思います。
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