
ザ・ロイヤルファミリー(新潮文庫)
早見和真
新潮社 / 2022-11-28
この本について
仕事でも人間関係でも、「ちゃんと背負えている大人」ってどれくらいいるんだろう、と思うことがあります。責任感のふりをしてみたり、逆に抱えきれずに距離を置いてしまったり。その揺れの中で、自分は何を大事にして生きていけばいいのか、ふと立ち止まる瞬間ってありますよね。 『ザ・ロイヤルファミリー』を読んでいると、その迷いが少しだけ言語化される感じがありました。競馬という世界を軸にしながら、登場人物それぞれが「誰の思いを受け取り、どこへ渡していくのか」を必死に探している。その姿が、どこか自分たちの働き方や家族との距離感に重なるんです。未来なんて読めないし、選択が正しいかなんてわからない。それでも人に託したり、託されたりしながら進むしかない、という現実の手触りがあります。 特に響いたのは、人ではなく「人への信頼」に投資するという考え方と、勝つ馬だけが未来を切り拓けるという残酷さの裏にある“覚悟の種類”でした。継承という大きなテーマも、立派な話ではなく、昨日の自分から明日の自分へ手渡す程度のものだっていいんだと感じられるのが、この作品の優しいところです。 父を超えようとする息子のように、自分もどこかで何かを超えていかなきゃと思っている人に、とても刺さる物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
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