
アルプス席の母
早見和真
小学館 / 2024-03-15
この本について
最近、「自分の選択はこれでよかったのか」「親として、あるいは大人としての立ち回りに自信が持てない」といった相談をよく受けます。周りに合わせすぎて苦しくなったり、逆に強がってしまったり。誰かの期待や常識に揺さぶられながらも、本音がどこにあるのかわからなくなるあの感覚、けっこうみんな抱えているんだと思います。 『アルプス席の母』を読んでいて胸に残るのは、まさにその揺れの部分でした。落ち込んでいないふりをしてしまうところとか、体裁を気にして後から自分にがっかりする瞬間とか、誰かに「おかしいよ」と言ってもらって少し救われる感じとか。主人公の菜々子の迷い方が、妙に生活と地続きなんです。その中で、息子の航太郎が見せる「自分の期待にちゃんと向き合う」という姿勢や、周囲との距離の取り方が、こちらの視点を少しだけ変えてくれます。 この本が効くのは、劇的な成功物語ではなく、日々の選択の積み重ねで自分の軸がゆっくり育っていく過程を描いているからだと思います。やり残したくないという気持ちが芽生える瞬間や、「信念を曲げないこと」と「周囲を無視すること」の違いに気づく場面が、読んでいる自分の生活にも自然と重なってきます。 親として読んでもいいし、大人として迷っている人にも刺さります。特に「強がるのが癖になっている人」には、静かに効くはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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