
コモンの再生 (文春文庫)
内田 樹
文藝春秋 / 2024-03-06
この本について
最近、「このまま社会が進んでいったらどこに行き着くんだろう…」みたいな漠然とした不安を抱えつつ、日々の仕事に流されて何もできていない気がしていました。何か備えなきゃと思うけれど、そもそも何をどう考えればいいのか分からない。そんなモヤモヤに触れたとき、この本の抜粋が妙に沁みました。 内田樹さんが指摘する「最悪の事態を想像する知的習慣が日本にはない」という話は、耳が痛いけれど現実的です。気づけば共同体としての“私たち”が薄くなり、誰もが自分のことで手いっぱいになる。その流れの中で、祭礼や文化、相互扶助の仕組みが静かに失われていく描写は、どこか今の空気と重なるところがありました。コモンという言葉を、欧州の共有地やコミューンといった“実在した制度”として丁寧に説明してくれるので、抽象的な理想論ではなく、自分の生活に引き寄せて考えやすい点も助かりました。 読んでみて個人的に効いたのは、「最悪を想像して準備する」「みんながいつでも使えるように、という主体を育てる」という二つの視点です。どちらも派手ではないけれど、日々の仕事でも家庭でも、できる範囲で試せる。自分ひとりではどうにもならない問題に向き合うときの、ささやかな足場をつくってくれる感覚がありました。 社会の空気に薄い不安を感じつつ、「何から考えればいいのか分からない」と立ち止まっている人には、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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