
反知性主義者の肖像 (文春文庫)
内田 樹
文藝春秋 / 2025-12-03
この本について
日常のニュースを見ていると、「なんでこんな判断になるんだろう」とか、「自分の感じている違和感は大げさなんだろうか」と悩むことが増えました。特にここ数年は、平時の感覚のまま非常時を語るような空気に自分まで巻き込まれそうになって、うまく言葉にできないままモヤモヤを抱えていました。 『反知性主義者の肖像』は、そのモヤモヤに名前をつけてくれる本でした。たとえば、社会性とは“今ここ”の多数決ではなく、過去と未来への開き方で決まるという視点は、短期的な空気に振り回されがちな自分の思考をいったん引き戻してくれます。また、人が矛盾に鈍感になっていく理由や、正常性バイアスがどう働くのかが具体的に語られていて、「自分がいま見えている世界は本当に全体の一部にすぎないな」と実感しました。さらに、知性とは個人の能力ではなく、集団で情報を扱い合うプロセスそのものだという話は、意見の違う相手を前にすると固まりがちな自分の態度を見直すきっかけになります。 この本は、政治や社会の話に限らず、「なぜ人はこんな行動を取るんだろう」と感じたときに足場になってくれる一冊です。特に、世の流れに違和感を持ちながらも、それをうまく言葉にできずにいる人に刺さると思います。自分の判断が揺らぐとき、ひとまず頭の中を少し広い場所に連れ出してくれる、そんな読み心地の本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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