
月に吠える
萩原 朔太郎
この本について
ときどき、自分の気持ちをうまく言葉にできなくて、そのせいで誰にも届かない感じがすることがあります。理由は言えるのに、どういう“工合”でつらいのか、どういう“工合”でうれしいのかになると急に黙ってしまう。そんなとき、自分だけが変なんじゃないかと不安になります。 『月に吠える』は、その「うまく言えなさ」を無理に整えず、むしろそのまま見つめる方向に連れていってくれます。人は一人一人ちがう感情と神経をもって生きていて、だからこそ完全には分かり合えない。でも、その孤独のかたちをそのまま差し出すと、なぜか少しだけ楽になる。朔太郎が書く「詩は病める魂と孤独者への慰めである」という一文は、詩という形式より手前にある、生身の気持ちへのまなざしとして響いてきます。 また、この本は感情の理由ではなく“輪郭”のほうを掬い上げてくれます。月に吠える犬の姿や、霜の音さえ察して震える小犬の描写を読んでいると、自分の中の説明できない気配も、確かに存在していいのだと思えてくる。言語化できない部分があるからこそ、そこにしか届かない感情があるんだと、少しだけ受け入れられるようになります。 自分の気持ちを言葉にするたびに「これで合ってるのか」と迷う人に、とても静かに効く一冊です。
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ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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