
国盗り物語(一)(新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社 / 1971-12-22
この本について
仕事でも人生でも、何か大きいことを成し遂げたい気持ちはあるのに、目の前の雑事や小さな欲に流されてしまう。そのたびに「自分には結局、野望なんて言えるほどのものは無いのかも」と落ち込む瞬間ってありますよね。僕もよくそこで足が止まります。 『国盗り物語』の庄九郎(のちの斎藤道三)は、そんな迷いと真逆に見える人物ですが、抜粋を読むと意外なほど“地に足がついた野望の持ち方”をしているんですよね。大慾の前に小慾を殺す、なんて強い表現が出てきますが、実際にやっていることは、永楽銭で槍の修行をしたり、一年だけ世間に出してほしいと頼んだり、とても具体的で積み上げ型。声が澄んでいるとか、落ちついていると周囲に評されるのも、勢いや感情ではなく、目的に沿って判断を削り出していく結果として描かれています。壮大な夢を語りながらも、実際は小さな工夫と計算の連続でしか前に進めない、その現実感が刺さる人は多いはずです。 読んでいると、「野望」という言葉を大げさに捉える必要はなくて、ただ自分の目的に向かうために“要らないものをどれだけ手放せるか”なんだと視点が変わってきます。人の心理の律をつかむという話もあり、組織や人間関係に疲れている人ほど、あの時代の荒々しさの中にむしろヒントを見つけやすいかもしれません。 自分の目的に向けて、もう一歩踏み出す形を探している人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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