
性愛論 (河出文庫)
橋爪大三郎
河出書房新社 / 2017-09-06
この本について
人との距離感や、恋愛の温度差に戸惑うことってありますよね。気持ちはあるのに、なんで噛み合わないんだろうとか、自分の欲望や不安をどう扱えばいいのか分からないまま大人になってしまったような感覚。僕自身、そういうモヤモヤを抱えたまま過ごす時間が長かったです。 『性愛論』は、その混乱を「整理してくれる」というより、「どこでつまずいていたのかの位置を示してくれる」本でした。身体と心がどう結びついて見えているのか、なぜ“猥褻”とされるものが社会ごとに違うのか、そして自分の身体を相手が欲するという事実をどう受け取るのか。こういう、普段は言葉にしづらい領域を、文化や歴史、社会の視点からていねいに解いてくれます。特に、相手の身体を享受しながら同時に自分の身体を操作していく、あの曖昧なやりとりの意味づけは、自分の経験と重なる部分が多くて腑に落ちました。 大げさな答えがほしいというより、自分の“感覚の根っこ”を知りたい人に向いています。恋愛や性の問題って個人の資質のせいにされがちですが、この本はそこに社会のコードがどう関与しているかを示してくれる。だから、責める矛先が自分だけに向かなくなるんですよね。 「どうして自分はこう感じるんだろう」と立ち止まることの多い人に、静かに刺さる一冊だと思います。
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