
咒(まじない)の脳科学 (講談社+α新書)
中野信子
東立出版社 / 2022-01-01
この本について
最近、自分の言葉に振り回されている感覚がありませんか。言わなくていい一言を口にしてしまったり、逆に飲み込んだ言葉が頭の中で膨らんでいったり。気づいたら、相手よりも自分が疲れている。僕自身もずっと同じことで悩んでいて、「結局、脳の中では何が起きているんだろう」と思っていました。 『咒の脳科学』は、そのモヤモヤにかなり実務的に踏み込んでくれる本でした。たとえば、私たちは一日に無数の言葉を発し、さらに脳内で再生していて、それが意思決定や感情を揺らし続けているという指摘。言葉はただのコミュニケーション手段ではなく、思考そのものの土台なんだと腑に落ちました。また、ノーシーボ効果や「言葉が肉体にまで影響する」という実験例が出てくると、普段の何気ない発言や受け取った言葉の重大さが急に現実味を帯びてきます。 もう一つ印象に残ったのは、咒という概念の扱いです。大げさなスピリチュアルではなく、「私たちは集団が作った思考体系から完全には逃れられない」という現実的な話。そのうえで、どこまで自分の言動を意識的に扱えるのかが分岐点になるという視点は、仕事でも人間関係でもそのまま効きます。 自分の言葉に疲れている人、あるいは他人の言葉に影響されやすい自覚のある人に特に刺さる一冊だと思います。
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